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複数社でCTOを歴任した坂口さんにIT業界のリアルを直撃!「IT人材不足は本当なのか?本当に求められているIT人材とは!?」

インタビュー

2024/01/04

2024/01/04

坂口さんインタビュー記事サムネイル

本日は、IT業界の最前線で活躍している坂口さんに下記2点を中心にインタビューさせていただきました。

  1. IT業界の人材不足は本当なのか?
  2. 現場で求められているIT人材とは?

今後IT業界で、活躍していきたいという方はぜひ最後までご覧ください。

インタビューに応じてくれた方

坂口賢司さん|株式会社プロフィットメイカーズの代表取締役
2003年Slerへ入社。メガバンクの基幹システム開発に携わり、エンジニアとしてのキャリアをスタートする。
2009年SlerからWebサービス系の事業会社へ転職。2012年株式会社トライフォートの設立を経て、同社運用統括本部長として事業成長に貢献。2014年ランサーズ株式会社へCTOとして参画し、クラウドソーシングプラットフォームの運営においてエンジニア部門を統括。2015年、株式会社Emotion Techに参画、取締役CTOに就任し、同社の成長に大きく貢献。
現在は創業した株式会社プロフィットメイカーズの代表取締役を務めつつ、スタートアップ支援を行う株式会社ハンズオンや、東証プライム上場の福井コンピュータホールディングス株式会社の取締役など、複数社の役員や顧問、アドバイザーを務める。

坂口さんの経歴

坂口さんの画像

──まず初めに坂口さんのキャリアを教えてください。
高校卒業後はやりたいことが見つからず、大学へ行くのも、お金のためだけに働くのも何か違うなと思い、5年ほどアルバイトや契約社員として過ごしていました。

その間も本当にやりたいことを見つけるため、少しでも興味がありそうな仕事を見つけては、一度やってみるということをしていましたね。アパレルからガソリンスタンド、レストランやパソコンを使ったデータ入力など様々なことを経験しました。

そんなとき、ライブドアの急成長を目の当たりにしました。また、IT企業全般に勢いがあるように見えたので、そこでやっとIT企業で働きたいと思うようになりました。
ただ今思えば当時(2000年頃)はシリコンバレーでITバブルが弾けているような状況で、実際は少し下がり気味な傾向でした。当時の情報感度だとそこまで理解することはできていませんでしたが、振り返るとそれすらも良かったのかもしれません。

IT企業で働くと決めてからは、すぐに国家資格を取って就活し、未経験歓迎のSI会社に正社員として内定をいただきました。
その会社は毎月20名くらい採用していましたが、研修が終わるタイミングには人数が半分になっており、その後3ヶ月経てばほとんどが辞職しているくらい厳しい環境でしたね(笑)

※SI:システムインテグレーション(System Integration)の略。顧客が求めているシステムについて要件定義から運用・保守まで一貫して手掛けることを指します。Integrationは「統合」という意味です。

ありがたいことに私は1年半くらいたったタイミングで、上司から「本部長をやってみないか?」と提案をいただきました。
しかし1人で30人近くの部下をマネジメントする自信はなかったので、同役職にもう2人の登用をお願いし、合計3人でその役割を担うことになりました。

4-5年ほど勤務していた間にもメガバンクの開発受託を中心に企業が成長していきました。当然組織も拡大し、最終的には300人規模の組織となりました。

 

──複数社のCTO経験がある坂口さんが、高校卒業後5年間もフリーターをやっていたことには驚きました。エンジニアとしてのファーストキャリアはSIでの開発者なんですね。本部長へ昇格しマネジメントを経験した後のキャリアに関しても教えてください。

SI系で働く人の大半は

  • 「企画からサービスのリリース・運用まで携わりたい」
  • 「一般消費者が使えるようなサービスを作りたい」

そう憧れを抱くようになります。
私もその中の1人で、新しい会社への転職を決意しました。
最初は既存サービスへの追加機能を作ったりしていましたが、新規事業が立ち上がるタイミングで新サービスの開発全般を任せてもらえるようになりました。そこからは、また別の会社で新規事業を任せてもらったり、知人が立ち上げた会社で組織拡大のお手伝いをしたりして経験の幅を広げていきました。

ランサーズ株式会社に入社したのは、今までの会社での組織拡大が評価されたからです。これまでの経験で貢献を期待していただき、CTOとして着任することになりました。

※CTO:Chief Technology Officerの略。最高技術責任者。企業や組織で技術戦略を策定し、技術部門を指導する役職。新しい技術の導入や開発プロジェクトの監督、イノベーションの推進など、技術関連の戦略的な決定を担当する。

ランサーズではマーケットの開拓や組織の拡大などの仕事をしていました。当時、エンジニアのマッチング市場はマーケットとしては新しく、マーケットを作ることの難しさを痛感したのが思い出です。
ただ、入社時からミッションとしていた組織拡大に関しては、30名から120名まで拡大することができました。

その後、自分自身が代表となり、株式会社プロフィットメイカーズを創業しました。
実は過去に1回起業したことがあるのですが、その時はうまくいかず畳んでしまい、自分の中で苦い経験になっています。その時は私自身が “代表” ではなかったので、今回は “代表” を経験してみようと、自分で会社を立ち上げました。

それと同時期に、株式会社EmotionTechのCTOも兼任しています。
どちらも0→1を作るためにカルチャーを作ることやマーケティング、時にはバックオフィスもやらないといけない時期もあり、営業職以外はほとんど経験しました。
少し長くなりましたが、以上が簡単な経歴になります。

──坂口さんの経歴を伺い、エンジニアとしてキャリアアップしていくのには様々な経験が重要だと感じました。坂口さんがまだ経験のない時でも、開発部門長を任せてもらえるようになった理由を教えてください。
正直なところ、1番最初に任せていただいたのは運の要素も大きいです。(笑)
タイミングよく声をかけてもらえました。

ただ、その運が集まってきた理由があるとすれば、日頃からやりたいこと・やりたくないことを常にアピールしていたからかもしれません。それが上司へ伝わって開発部長の声がかかったんだと思います。

一方で、開発部長としてマネジメントをやっていきたい!とずっと考えていたわけではありません。
例えば一線級のコードが書けるプログラマーとして、オープンソースに貢献するようなコミッターになることも選択肢にありました。
他にもCTOや経営など、ビジネスサイドの理解を深めていくなども可能性としてあります。今となればもっと考えることも行動できることもありましたが、当時はそのようなことを考えていました。

──キャリアを上げていくために、日頃から自分の理想とするキャリアを考え発信することが重要ということですね!

──坂口さんは小規模の会社から日本を代表するレベルの会社まで数社で働いてきたと思いますが、大きくなるような会社にはどのような共通点がありますか?

大きくなって伸びている会社は、ビジョンやミッション、パーパスだったりをしっかり意識しています。
それゆえに、人を惹きつける力が強いのが、大きくなる会社の特徴ですね。
社長自身に人を魅了する力がある会社もあれば、会社全体にその力がある会社もあります。その力が各組織にもあってシナジーが出てる、みたいな会社は、やっぱ伸びたなっていう気はしますね。

それだけではもちろんダメだと思っていますが、伸びている会社には最低限人を惹きつける力があると思います。

──坂口さんは多くの会社の代表取締役やCTOに就任していますが、CTOの役割を詳しく教えてください。

CTOの役割は難しいんですが、日本だと結構色々求められる傾向にあります。
ただ、本場シリコンバレーでは技術戦略が基本的な役割です。それに付随して、技術に関わるところのリードをとったり、ホワイトペーパーを作ったり、そういう仕事になります。
技術の浸透や育成などはVPoE(Vice President of Engineering、技術組織マネジメント責任者)に任せることが一般的ですが、日本だとどちらもCTOに求められることが多いです。
技術に関連することは全部担当。そのうえで、企画とかデザイン、開発にCTOが干渉して、マーケや営業などは他の役員が見る。といったパターンも結構多いです。

エンジニア不足で日本がピンチ

坂口さんの画像

──経済産業省が出しているデータによると、2030年に最大で79万人のIT人材が不足すると言われています。ぶっちゃけ業界として本当にIT人材は不足しているのですか?
不足していますね。
たしか、5年前くらいまでに言われていたのは2025年に30万人、2035年には75万人の不足でしたね。
これがきっと2025年になると、2035年には100万人のIT人材不足といったように、どんどん数が増えていくと思います。

国の出しているこの数字が正しいとすれば、人材不足は悪化している状況です。

実際、現場の肌感でも、ミドルレイヤーの採用は難しいですし、ハイレイヤーはもっと難しい。そしてジュニアクラスも取りづらいというのが現実です。

レイヤーの分類はスキルレベルによるので一概には言えませんが、経験年数で言うと1-3年目がジュニアクラス。3-10年がミドルレイヤー。それ以上いくとハイレイヤーというイメージですね。

──今、日本には全部の層が足りていないのですか?
全部です(笑)

──経験が1~3年のジュニアクラスの人すら少ないんですね。
そうですね。
ただ、最近はミドルレイヤーやハイレイヤーと比較すると増えてきている気はします。
IT教育の義務教育も始まりましたし、エンジニアリングスクールに通う人も、そうした類のスクール自体も増えてきましたね。その影響もあって多少は皆さんが興味を持つようになってきたのかなと思っています。
ただ、結局需要に対しては全く追いついていないのが現状です。

──2030年に79万人のIT人材不足というこの数字は重要だと思いますか?
数字自体は重要じゃないと思います。
ただ、IT業界全体のことを考えたらIT人材の不足は大きな問題です。

日本のエンジニアはとても優秀です。海外のエンジニアと比べて英語が苦手なことで、情報収集力の面で不利な部分はありますが、学力の高さや勤勉さを考慮すると海外と比べても全く引けを取らないくらい優秀なんですよ。
実際、日本のメルカリとかGoogleの支社にも優秀なエンジニアは集まっています。

しかし、今後も優秀なエンジニアを確保できるかどうかが問題です。このままだと、例えば外資系の会社と戦う時には開発力でかなわず、競争で負けてしまうなと思います。当たり前ですが、DXを推進するにしてもWebサービスを作るにしても、優秀なエンジニアの力がたくさん必要です。
そのためIT人材の不足は大きな問題だと思います。

 

──このままエンジニアが不足してしまうと、どうなっていきますか?
エンジニアが不足していったら、日本の会社は新しいサービスや商品の開発にお金を出せなくなってしまうと思います。

エンジニアが不足すると需要と供給のバランスが崩れて、どんどんエンジニアの単価は上がっていきます。特にミドル・ハイレイヤーのエンジニアが足りておらず、彼らの月単価はこの5年で10万円以上は上がっていると思います。

お金を支払う企業側にも限界があります。儲かっていないのに高い報酬を払えるなんてことはありえません。
日本の会社がエンジニアにお金を払えなくなると、エンジニアからしたら、日本で仕事をしないほうが儲かることになりますね。事実、今も人材は少しずつ外資企業へ流れ始めています。

今後もエンジニアが不足し続けていくと、日本で働く理由は「日本のこのサービスが好きだから」「一緒にやる仲間と気が合うから」くらいしかなくなってしまいます。
なので、日本の企業がエンジニアにお金を出せなくなるということが一番怖いですね。
どんどん日本の競争力が失われてしまいますから。

──IT人材の不足がなぜ起こってしまうのでしょうか?
今までは企業がエンジニアに対して興味がなかったんだと思います。
2000年から2010年くらいまでは、それこそブラック企業も多かったですから。
それにIT業界は3K「キツい」「帰れない」「給料が安い」と言われていたりもしていました。

ただ、ブラック企業は最近ではだんだんと淘汰されてきた印象があります。
それにともなってIT業界の3Kの印象も変わりつつあります。

──今までのエンジニアの働き方の印象が悪かったことが、今のエンジニア不足につながっているということですね。スクールを運営している立場からも、今後はエンジニアの魅力を伝えていき、ITに興味を持ってくれる人を1人でも増やしていきたいです。

今後は背景を汲み取れるIT人材が求められる

坂口さんの画像

──今後求められるIT人材はどんな人たちでしょうか?

ものを作るときにその目的や背景とかをきちんと理解したうえで、サービスのストーリーも含めて考えられる。それをプログラミング技術を使って実現できる力を持っている。という人が求められると思います。

今後はプログラミングができることは当たり前です。今の子どもたちは義務教育でプログラミングを学んでいますね。その人たちが社会に出てきたときには、上の世代の人たちに対して
「えっそんなこともできないんですか?」
って言えるような状態になっていたほうが良いと思いますし、実際になると思います。

プログラミングスキルを持っているのは働くうえでの最低条件なので、もう少し上にいくのであれば、エンジニアリング × 何かが大事です。
例えば エンジニアリング × マーケティング や、エンジニアリング × デザイン など。
この辺はエンジニアリングととても相性がいいと思います。

──これからITを学びたいけど何から学べばいいかわからない、という人はどうやってITを学んでいくのが良いと思いますか?

例えばインターネットで調べても何をしたらいいのかわからないのであれば、素直にスクールに通うのがいいと思います。

初心者向けの勉強会コミュニティとかもあると思うので、そういうところに勇気を持って参加してみるのもおすすめです。

いずれにせよ、優しいコミュニティを選んで勇気を持って一歩踏み出してみるのがすごく大事かなと思います。

私がもし初学者に戻るのであれば、もっとオープンソースの開発に参加し貢献したいです。
どんなレビューが返ってくるのか、チーム開発のフローの一例をリアルに体験できます。
少しハードルは高いですが、すごくおすすめです。

※オープンソース:多くの有志が共同でソフトウェアを開発すること。ソフトウェアのソースコードを誰でも見られ、改良できる。オープンソースの代表的なソフトウェアとしてLinuxやFirefoxなどがある。

──私たちのスクールは10代の方や40代・50代の方など、幅広い年齢の方が受講してくださっています。年齢の違いによって学習の始め方、進め方に違いはあると思いますか?

エンジニアリングの学習経験がないことを前提にするなら、年齢によって学び方は変えなくて良いと思います。

エンジニアは正しくインプットをして、たくさんコードを書いて、成果物を作り、評価されて成長していきます。
これ以外にはありません。
年齢にかかわらず、正しい知識を正しい形で学んでほしいなと思っています。

ただ、年齢が高い人は、社会人経験が長く座学だけで知った気になってしまっている人が多いような気がします。そういう方がいきなり実践に入って変な癖がついてしまうと抜け出しにくいので、しっかりと一から座学をやるのも大切です。

若い人は思考が柔軟で吸収力が高いので、いきなり実践で学ぶのも選択肢としては有効だと思います。

──学習者の中には学んでみたけど、仕事が取れません。という人もいると思います。こういう人は、どんなふうにスキルを仕事や社会に生かしていくのが良いと思いますか?

自分で学習してみました。という人にいきなり仕事を発注するかと言ったらしないじゃないですか。

この辺はマーケティングとか営業の話になってしまいますが、例えば1ヶ月目は無料で使ってもらって構わないので、もしよかったら2ヶ月目からお金をください。
ですとか、何かしら工夫をする必要があると思います。

あとは、最近は営業会社も増えているのでそういうサービスを利用するなどもありですね。
前提としてスキルはとても大事ですが、仕事に繋げるという話に関しては、スキル以外でどれだけ工夫できるかを意識するのが良いと思います。

──近年AIの発達やローコード・ノーコードサービスが増えています。エンジニアからするとこれらは脅威と感じていますか?それとも可能性を感じていますか?

脅威になるというより便利になるだろうと感じています。
この先も、我々の仕事を楽にしてくれると思います。

例えば、自動のコード補完など、今でもツールを使えば色々なことができますし、今後はもっと自動化されてできることが増えてきます。
しかし、先ほども申し上げた通りエンジニアの価値はプログラミングをするだけではありません。作るもの、目的や背景に合わせてどの技術を取捨選択をするのかも大事です。

プログラムの書き方に関しても、今のところは人間の指示を前提としていますし、どういう書き方をしたほうがいいですとか、今こういう書き方をしておけばあとでここを直さなくて済むですとか、
そういった配慮まではAIにはまだできません。
今のAIサービスだけでは、まだしばらく完全自動でプログラムを書くことはできないでしょう。
おそらく人間がプログラムを書かなくなるような強いAIが出てくるには、あと100年くらいはかかるのではないかと私は考えています。

改めてですが、今の時代でエンジニアに求められる大事なことは、サービスを作る背景などを汲み取り最適な技術を選定できること。
そのうえで、AIやノーコードツールなどにうまく指示が出せるようになる、必要なタイミングで上手に利用できるようにしておく、といったことも同時に大事になってくると思います。

──坂口さん、ありがとうございました!

 

坂口さんはプログラミングスクールのカリキュラムも監修してくれています。ご興味ある方は、是非以下よりお申込み下さい。

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この記事の執筆者

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