朝5時半に起き、1時間かけて通勤し、定時を過ぎても残業して、また1時間かけて帰る。家に着くころにはもう夜で、できることは食事と風呂くらいだった。
そんな34歳が、「年齢的に厳しい」という言葉を受けながらもWebデザインを学び、研究職・非破壊検査からWebエンジニアへと転職した。不安が完全に消えたわけではなかったけれど、一歩ずつ前に進んできた。
通勤と残業だけで1日が終わる。「このままでいいのか」という違和感
──当時の仕事と生活はどんな状況でしたか?
34歳で、研究職・非破壊検査の仕事をしていました。会社まで片道約1時間かかる場所に住んでいて、朝は5時半に起きて6時50分には家を出る生活でした。
定時は18時でしたが毎日1時間ほどサービス残業があって、家に帰り着くのは19時半頃。そこから夕食を食べて、風呂に入って、翌朝も早いのでもう寝るという毎日でした。
──平日はほぼ仕事と通勤で終わってしまう生活だったんですね。その中で、何か引っかかっていたことはありましたか?
「このまま今の働き方を長く続けていっていいのだろうか」と考えることが増えていました。出張も多くて、2ヶ月に1回くらいの頻度で2〜3週間ほど家を空けなければならなくて。
いつ呼ばれるか分からないまま生活リズムが崩れていくのが、じわじわとしんどかったです。「今のままでいいのかな」という違和感が少しずつ積もっていきました。
──その違和感が、動くきっかけになったんですね。最初にどんな行動を取りましたか?
Web業界に興味があって、まずハローワークに相談しに行きました。
職業訓練でWebを学んでみたいと思っていて「仕事を辞めて無職になれば応募できますか?」と聞いたんです。しかし、そのとき担当の方に「34歳で未経験からWeb業界に入るのは厳しいですよ。今は若い人が多いので、就職先はなかなかないと思います」と言われてしまって……。
──それは、踏みとどまりましたか?
「やっぱり自分には難しいのかな」と思いました。
もともと年齢や未経験のことは自分でも気になっていたんですが、実際に第三者からそう言われると、やはり一度立ち止まってしまいます。「本当に今からでも間に合うのだろうか」と迷って、そこでは動けませんでした。
独学が続かない。それでもスクールに踏み出した理由
──そこから、どう気持ちが動いていったんですか?
ハローワークで踏みとどまったあとも、諦めきれなくて。YouTubeで無料のレクチャーを見ながら、見よう見まねでホームページを作ってみたりはしていたんです。
ただ、出張が入るたびに学習が途切れてしまって、少し勉強して離れて、また再開する繰り返しで。知識として定着している感覚がなかなか持てませんでした。
──そんな中で、ZeroPlusを知ったきっかけは?
インターネットを見ていたときにたまたまZeroPlusの広告が目に入って、リスキリングに関する給付制度が使えることを知りました。
「独学ではなく、きちんとスクールで学べば今度こそ身につけられるんじゃないか」と思って、まずは面談を受けてみることにしたんです。この時点では転職を完全に決めていたわけではなくて、「ここで学べば何とかなるかもしれない」くらいの気持ちでした。
──実際に学び始めてみて、印象に残っていることはありますか?
卒業課題のことが一番記憶に残っています。
受講生それぞれに事情があって、担当部分を進める中で「ここができない」と相談を受けて、自分が代わりに対応することもありました。
仕事をしながら受講していたので、正直しんどいなと感じる場面もあったんですが、今振り返ると、そのおかげで自分一人では経験できなかったことをより多く学べたと思います。講師に聞ける環境の中で、実際に一つのものを完成させた経験は大きかったです。
──ハローワークで言われた「年齢的に厳しい」という言葉は、学ぶ中で変わっていきましたか?
少しずつできることが増えていって、「34歳の自分でもやっていけるんじゃないか」と思えるようになりました。
ただ、「自分でWebサイトを作れるようになること」と「実際にWeb業界に就職できること」は、イコールではないと思っていて。技術が身についても、それだけで仕事が見つかるとは限らない。「できるようになった。
でも、本当に仕事としてやっていけるのだろうか」という気持ちは、学習を続けながらも正直ずっと抱えていました。
転職先の内定。収入は下がったが、新しい仕事への向き合い方が変わった
──実際に転職はできましたか?
Web制作会社から内定をいただけました。研究職・非破壊検査の仕事しかしてこなかった自分が、新たにエンジニアとして働くことになって、「挑戦してみてよかった」と思えるようになりました。
ZeroPlusで学んだことは実際の仕事でも生きていて、コードをただ書くだけでなく「このコードは何をしているのか」を読み解く力は、実務の土台になっています。AIが生成したコードも、内容を理解しながら扱えるようになりました。
──収入の面はどうでしたか?
転職によって、収入は前職より大きく下がりました。今は新しい分野で経験を積んでいる途中ですし、これからスキルを伸ばしていく段階だと思っています。
──日常の中で、「前と変わったな」と感じる場面はありますか?
休日にパソコンを開く時間が増えました。以前は仕事以外でパソコンを使うことは、よほど必要がない限りなかったんですが、今は「何か新しいことができないかな」と自然に触るようになって。
コードを書いたり、ポートフォリオを作ったり、YouTubeで新しい技術を探したり。「勉強しなければ」じゃなくて、自然とパソコンに向かうようになったのは、以前との大きな変化だと感じています。
──これから挑戦したいことはありますか?
アニメーションや3D表現など、これまで学んできたことをさらに発展させて、ユーザーの印象に残るようなWebサイトを作れるようになりたいと思っています。
実際に働いてみたからこそ、自分がどのような仕事をしたいのか、どのような環境で成長したいのかが、以前よりはっきり見えてきました。その方向性に合った環境を自分で探して、もう一度ステップアップするための挑戦をしていきたいと思っています。