「AIを学んだ方がいいのかも……」 その迷いを持ったままプログラミング学習を始めるのは、ちょっと早いかも。
現役エンジニアのお二人に、AIとプログラミングの「本質」を正直に語ってもらいました。
- プログラミングを学ぶと、公式ドキュメントを読む・一次情報を確認するという「学び方そのもの」が身につく。
- 「最新情報を自分で追えるようになる」「新しいことの学び方を知っている」ことに本質的な価値がある。
- 作れる人はいる。ただ8割の人は最初の設計段階でつまずく。
- 「何を・なぜ・どう作るか」を決められないと、AIにうまく指示が出せない。
- AIが出力したコードが正しいか・保守しやすいかを判断する知識が人間側に必要。
- どちらも大事だが、「プログラミングを学ぶ中でAIも使える」形がいちばん強い。
- 今よく言われる「AIを学ぶ」は、ChatGPTやプロンプトの使い方を覚えることを指すことが多いが、再現性が高く他の人もすぐ真似できるため、それだけでは差別化しにくい。
- AIを本当に使いこなすためにも、プログラミングやITの基礎を学ぶ意味が大きくなってくる。
- まずAIツールの有料版を実際に触ってみることで、AIの凄さも限界も自分で確認できる。
目次
「AIを学ぶ」って、具体的に何を学ぶの?
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やまぴー先生:最近、「プログラミングを学ぶより、AIを学んだ方がいいんじゃないですか?」という声をよく聞きますね。 AIでフリーランスを目指す、AIを使って稼ぐ、Pythonや機械学習を学んだ方がいいんじゃないか、という話もあります。そういう時代の流れの中で、いまAIの使い方を学ぶのではなく、あえてプログラミングを学ぶ意義って、どこにあると思いますか?
たけ先生:まず、「AIを学ぶ」という言葉の意味ってかなり広いですよね。今よく言われている「AIを学ぶ」って、ChatGPTの使い方を学ぶとか、Claude Codeの使い方を学ぶとか、プロンプトのテンプレートを覚えるとか、そういう意味で使われていることが多いと思います。
それはそれで役に立つし、稼げる人もいるかもしれませんが、AIツールの使い方だけで成果を出せる人って、たぶん別の土台が強いんですよ。PDCAを回すのがすごく早いとか、マーケティングがうまいとか、そもそも行動量があるとか。
やまぴー先生:AIツールの表面的な使い方は再現性が高いので、他の人もすぐ真似できる分、それだけを学んでも、自分の価値が長く上がり続けるかというと怪しいですね。
たけ先生:結局、強いのは「何かのスキル × AI」だと思っています。自分の専門性や経験があって、そこにAIを掛け合わせるから価値が出る。プログラミングを学ぶ大きな意味は、単にコードを書けるようになることだけじゃないと思っています。
やまぴー先生:確かに。そう考えると、「AIを学ぶ」と「プログラミングを学ぶ」って、そもそも性質が違いますよね。
たけ先生:あと正直なところ、僕はずっと思ってるんですけど、AIって学ぶものというより使うものですよね。僕らも別にAI講座を受けてから使い始めたわけじゃないじゃないですか。結局、使いながら覚えている。
しかもAIの情報って変化がものすごく速いから、一番最初の情報源はどこかというと、結局は公式ドキュメントだったり、公式発表だったり、SNSだったりする。だから本質的には、「AIを学ぶ」じゃなくて、「最新の情報を自分で追えるようになる」ことの方が重要だと思うんですね。
「AIの学び方」を学ぶより、「学び方そのもの」を身につける
やまぴー先生:最新情報を自分で追うって、エンジニアの情報収集の仕方そのものですね。 公式ドキュメントを読む、一次情報を確認する、新しい技術を検証する...。
たけ先生:そうです。それってエンジニアが普段やっていることなんですよ。 よく「プログラミングを学ぶと論理的思考が身につく」と言われますけど、それに近い話です。プログラミングを学ぶと、「よく分からない人の記事を読むより、公式を見た方が早い」という感覚が自然と身につくんです。
やまぴー先生:確かにエラー解決でもそうですよね。古い記事を探し回るよりも、公式ドキュメントを見る方が早いことが多い気がします。
たけ先生:特に新しい技術ほどそうです。AIなんてまさにそうで、毎月のように状況が変わります。 だからAIの最新情報だけを目的にスクールへ行くのは、個人的にはあまりおすすめしないです。もちろん、ちゃんとやっているところもあるとは思いますけど、本質的には、「自分で情報を取りに行けるようになる」方が圧倒的に価値があります。
やまぴー先生:つまり、「AIを学ぶかプログラミングを学ぶか」の答えは、「プログラミングを学ぶことで、AIも含めて新しい技術を自分で学び続けられるようになる」という説明の方が近いかもしれませんね。AIツールの状況は日々変化していきますが、「公式情報を読める」「新しい技術を理解できる」「自分で調べて検証できる」という能力は、変わらず生きるものですし。
たけ先生:そうですね。だから、AIだけを学ぶよりも、プログラミングやエンジニアリングを通じて学び方そのものを身につける方が、長期的には価値が大きいと思います。
AIだけで開発すると、どこで詰まるのか
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やまぴー先生:「プログラミングくらいもうAIでできるじゃん」と思っている人に対しては、どう答えますか?
たけ先生:一回AIで作ってみればいいと思います。それで本当に思い通りのものが作れるなら、すごいですし、それならそれでいいと思います。 ただ、多分8割くらいの人は、最初の「アーキテクチャ設計」の部分でつまずくと思います。
つまり、
- なんで作るのか
- なんのために作るのか
- どういう構成にするのか
というところで止まっちゃうんです。AIに作ってもらうにしても、そもそも何をどう作るのかを決める必要があります。そこが分からないと、AIにうまく指示を出せません。
やまぴー先生:確かに、自分で設計した経験やプロダクトを作った経験がないと、AIを使って作ろうとしても途中で詰まっちゃいそうですね。
たけ先生:そう、絶対に途中で詰まっちゃうと思います。そしてAIがコードを書いてくれたとしても、それが良い構成なのか、保守しやすいのか、どこを直すべきなのかを判断できません。 実際に自分で作ってみないと、なぜ分ける必要があるのか、なぜ保守しやすさが大事なのかっていうのも実感しにくいですし。
やまぴー先生:実際、AIで作ったアプリがセキュリティの問題で話題になったこともありましたよね。
たけ先生:ありましたね。1年くらい前だったと思うんですけど、データベースにアクセスする権限設定をちゃんと行っていなくて、本来見えてはいけないデータが見えちゃっていた。 データは認証していない人が見られないようにする必要があるんですが、それだけでは不十分で、認証している人同士でも、「そのデータの持ち主本人なのか」を確認しなければいけなかったんです。
やまぴー先生:たしかに。その危険性自体に気付けるかどうかも重要ですよね。AIに「この設定で問題ありますか?」と聞くこともできますけど。
たけ先生:そうですね。でも、そもそも「その設定が必要だ」という判断ができるためには、ある程度のIT知識やセキュリティの知識が必要になります。
最終的に責任を持つのはAIではなく人間です。AIを提供している企業は、基本的に「出力内容の正確性を保証しない」という前提でサービスを提供しています。だから、サービスを公開した人、運営している人、開発した人が責任を負うことになります。「AIが作ったから」「AIが間違えたから」では済まないんです。
「AIかプログラミングか」ではなく、「プログラミングを学ぶ中でAIも使える」
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やまぴー先生:ここまでの話を総合すると、「学ぶべきはAIかプログラミングか」という問いに対してはどう考えますか?
たけ先生:僕は、そもそも対立軸にしない方がいいと思っています。たとえば、「AIを学ぶスクール」と「アプリ開発を学ぶスクール」があったとして。もしアプリ開発を学ぶ方で、AIの活用方法も学べるなら、そっちの方が強くないですか?
やまぴー先生:「AIかプログラミングか」ではなくて、「プログラミングを学ぶ中でAIも使える」という形の方が自然かもしれないですね。
たけ先生:AIは強力な道具だけど、何を作るか、どう作るか、どこを任せるかを判断するには、人間側に知識と経験が必要だから、AI時代でもプログラミングを学ぶ意味はありますし、むしろAIを使いこなすための土台として重要になっていると思います。プログラミングの知識がある方がAIを2倍、3倍使えます。
それに、AIを使い込んでいくと、どこかで「プログラミングを学ばないと、これ以上良いものが作れない」という壁にぶつかるはずです。AIを使って何かを作ろうとすると、結局、言語の理解、コードの理解、Webの仕組みやデータの扱い方の理解が必要になります。 もちろん、自分でトライ&エラーのループを回せる人なら、AIだけを使いながらつまみ食い的に学んでいくのでもいいですが、多くの人には、体系的に学んで、アウトプットして、実際に使いながら学ぶ機会が必要だと思います。
やまぴー先生:AI時代だからこそ、プログラミングやITの基礎を学ぶ意味はむしろ大きくなりますね。
たけ先生:AIに不安があるなら、まずAIを触ってみればいいと思います。できれば月20ドル(3,000円程度)でいいので課金して使った方がいいです。使えば使うほど、「すごいな」と思う部分も見えてきますし、同時に限界も見えてきます。 その上で、プログラミングを学ぶかを自分で判断した方がいいですね。実際にAIを使ってみて、その強さも限界も分かった上で、「だから自分はプログラミングを学びたい」と言える方が、確実に今後に活きてくると思います。