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【後編】「プログラミングを知っている」だけで、AIの使い方がここまで変わる

インタビュー

2026/09/23

2026/09/24

「プログラミングを知っている人は、AIの使い方が全然違う」と言われたら、何が違うのか想像できますか?

後編では、設計、計算資源、外部連携など、エンジニアの発想が具体的にどう強いのかを深掘りします。

前編はこちら:

内容のまとめ
機械学習とWeb開発、どちらを学べばいい?
  • 機械学習は「研究したい」「AIを作りたい」などの明確な目的がある人に向いている。
  • 「なんとなくAIが流行っているから」という理由では、途中で迷いやすい。
  • Web開発は設計・アーキテクチャを体系的に学べるため、AIを使う土台として強い。
プログラミングを知っている人とそうでない人で、AIの使い方にどんな差が出る?
  • AIを使いこなしている人には「専門分野の知識がある人」と「ITリテラシーがある人」の2パターンがある。
  • どちらもない状態でAIを使っても、知識・経験がある人には勝てない。
  • AIを使いこなせるのは、プログラミングを体系的に学んで自分でアウトプットを出した後のフェーズから。
  • AI単体で完結させず、外部のツールと連携して「AIが使いやすい環境の設計」ができるようになる。

今後は何が必要になってくる?
  • システム全体の構造を考え、設計する力の重要性が高まると考えられる。
  • AIへの指示が整っていても、大元の設計が崩れていれば、できあがるものも崩壊する。
  • 責任分離ができていない構造は、AIにとっても扱いにくく、余計な計算資源を消費する。
  • 将来的には計算資源への従量課金が一般化する可能性が高い。「どれだけ効率よくAIを使うか」という発想が必要になってくる。

 

AIを使いこなす人には、二つのパターンがある

やまぴー先生:前編では、「AIかプログラミングか」ではなく、「プログラミングを学ぶ中でAIも使える」方が強いという話をしました。後編では、もう少し具体的に深掘りしていきたいと思います。

「プログラミングの知識がある方がAIを2倍、3倍使える」という話がありましたが、具体的にどんなところで差が出ると思いますか?

たけ先生:AIを使いこなしている人には、大きく二つのパターンがあると思っています。一つは、業務領域や専門分野に精通していて、経験があるからAIで成果を出せる人。もう一つは、ITやプログラミングの知識があるから、AIをうまく扱える人です。
逆に言うと、どちらもない状態でAIを使っても、専門知識がある人やITリテラシーがある人にはなかなか勝てないと思います。AIを使うこと自体は誰でもできますが、AIを使ってちゃんとプロダクトを作るには、前提となる知識や経験が必要です。

やまぴー先生:AIを使えば誰でも同じように成果を出せるわけではないですよね。ゼロからAIを使った開発を始める場合はどうすればいいですか?

たけ先生:段階的に進める必要があると思います。まず、ITの文脈や設計力、プログラミング周りの知識を身につけるフェーズが必要です。そこで一度、自分でアウトプットする経験をしてから、それを使ってプロダクトを作ったりマネジメントしたりするフェーズに進めます。
AIを本当に使いこなせるのは、そのフェーズに入ってからだと思います。自分で構造を考えて、作って、改善して、運用まで見据えた経験があるからこそ、AIをどこでどう使えばいいかも判断できるようになります。

 

「設計できる」と「指示がうまい」は別の話

やまぴー先生:AI時代に特に重要になるスキルとして、「設計する力」があるという話が出ました。具体的にはどういう力ですか?

たけ先生:物事を仕組みや構造として捉える力です。アプリを作るとき、データはどこに置くのか、画面とサーバーはどう分けるのか、認証はどうするのか、将来機能が増えても破綻しないか、セキュリティ的に問題はないか。
こういうことを考える力ですね。こういう力は、ある程度現場での開発の経験則によるところもあります。だから、AIに正しく前提を伝えるためにも、AIの出力が正しいか判断するためにも、人間側にある程度の専門知識が必要なんです。

やまぴー先生:まだAIでの代替は難しいですよね。

たけ先生:AIはかなり正しいことを言うようになっていますが、まだ普通に間違えます。しかもこちらが正しい前提を渡せていなければ、精度はもっと下がる。AIへの指示がうまいことと、そもそもの設計ができることは別の話です。
指示が整っていても、大元の設計が崩れていたら、できあがるものも崩壊してしまいます。だから「設計する力」は、AIに何かを任せる前の段階で必要になってくるんです。

ソフトウェア設計の世界には「責任分離」という概念があります。初学者あるあるですが、何でもかんでも一つの機能にまとめてしまいがちですよね。作った瞬間は動くかもしれないけど、そこから保守・運用していくとなると、あとから修正することもあるし、仕様が変わることもあります。そのとき責任が分離されていないと、どこを直せばいいのか分かりません。
一つの機能にいろいろ詰め込まれていると、少し変更しただけで別のところに影響が出ることもあります。

やまぴー先生:AIを使えば、多少ぐちゃぐちゃでも何とかしてくれるわけではないですよね。

たけ先生:むしろ逆で、ぐちゃぐちゃなものをAIに読ませてはいけないんです。なぜなら、余計に計算資源を使ううえに、アウトプットの質も大きく落ちるからです。
今後は、AIにも余計な負荷をかけない設計が必要になってくると思います。人間にとって分かりやすい設計は、AIにとっても扱いやすいことが多いです。責任が分かれていて、どこに何があるかが明確で、変更の影響範囲が限定されている。そういう構造は、人間にもAIにも有利です。

 

AIを「効率よく使う」という発想

たけ先生:今後は、必要な電力使用量を下げるという意味でも、トークン使用量を削減することが大事になってくると思います。

やまぴー先生:トークンというのは、AIが処理する情報量のことですね。

たけ先生:トークンが増えれば計算量が増え、GPUなどの計算資源を消費します。電力が必要になるということは、当然たくさんの電気代が必要になるわけで。今はサブスクである程度使い放題で使えますが、いずれは主要なAIサービスで、使った計算資源に対して従量課金される仕組みのみに移っていくはずです。

やまぴー先生:電力と言われるとピンときませんが、お金と言われると一気に身近になりますね。今までのようにAIをジャブジャブ使うのではなく、個人でもちゃんとその辺りを考えながら使う必要が出てきそう。

たけ先生:今は比較的安く使えている部分もありますが、計算資源には限りがあります。みんなが無尽蔵に使い続けられるわけではないです。だからこそ、AIを使う側にも「どれだけ効率よくAIを使うか」という視点が必要になってくると思います。
処理をどう軽くするか、無駄な計算をどう減らすか、どう設計するか。こういうことを考える経験は、プログラミングを学ぶ中で自然と身につきます。

 

プログラミングを学んだ人だけが持てる「発想の引き出し」

やまぴー先生:具体的に、プログラミングをやっている人とやっていない人で差が出る場面はどこだと思いますか?

たけ先生:分かりやすい例で言うと、AIに何かを記憶させたいとき。
普通の人は「これを覚えておいて」とAIに伝えるくらいしか発想が出にくいと思いますが、エンジニアだと、SQLを使うとか、データベースを構築するとか、ファイルに記憶させるとか、そういう発想が出てきます。
「AIに覚えさせる」のではなく、「AIが必要なときに参照できる場所に情報を置く」という発想になるんです。そこからさらに、「どう指示すれば、その情報をちゃんと引っ張ってこられるか」まで考えます。

やまぴー先生:AIに直接覚えさせるのではなく、外側に記憶する仕組みを作るという発想ですね。

たけ先生:AI単体で完結させるのではなく、外部のデータベース、ファイル、API、コマンドラインなど、既存のツールとつなぐことで、AIができることは一気に広がります。ただし、そこにはプログラミングの知識や、ITの基本的な理解が必要になります。
これも「AIを使う」というより、「AIが使いやすい環境を設計する」という話で、かなりエンジニアリングに近い発想ですよね。

 

機械学習か、Web開発か?

やまぴー先生:このAI全盛時代の中で、Web開発より機械学習やPythonなどを学習した方が役立つのでは?と考える人も増えてきていると感じます。
僕自身は、大学などで機械学習やPythonを学べる環境があるなら、どっちもやればいいと思うんですが、もし時間に制約があって二者択一になったとしたら、AIや機械学習ではなく、Web制作やアプリ開発を学ぶ理由って何だと思いますか?

たけ先生:できるなら両方やった方がいいのは間違いないですね。ただ、本当に機械学習をやりたい人って、

  • 「〇〇を研究したい」
  • 「大学院に進学したい」
  • 「AIそのものを作りたい」
  • 「だから、そのために機械学習やPythonが必要」

と、目的がはっきりしていることが多いと思うんです。目的が明確なら、Pythonを学ぶ価値はとても大きいと思います。

逆に、目的がない状態で「Pythonはいろいろできるから」「何となくAIっぽいからPython」という入り方だと、思っていたような効果は得られにくいと思います。

やまぴー先生:機械学習の世界は、数学や統計の知識も必要になってきますし、Pythonが書けるだけでは全然足りないですよね。

たけ先生:Pythonは機械学習以外にもできることの幅がとても広いです。データ分析、Web開発、自動化など、それぞれ使うライブラリやフレームワークが違うので、「Pythonができます」と言っても中身はかなり幅があります。文法は同じでも、実際に考えることや組み方が全然違います。
だから、機械学習を学ぶこと自体は良いんですが、「その先で何をしたいのか」が重要だと思います。「Pythonを学ぶ」と言っても目的がないと何を学ぶべきかが定まりません。

やまぴー先生:一方で、Web開発を学ぶ価値はどこにあると思いますか?

たけ先生:個人的には、Web開発を学ぶ価値は設計やアーキテクチャを体系的に学べることだと思っています。

もちろん、機械学習にも設計はあるし必要だと思うのですが、Webアプリ開発って、

  • 「データをどこに置くのか」
  • 「フロントエンドとバックエンドをどう分けるのか」
  • 「認証はどうするのか」
  • 「権限管理はどうするのか」

みたいな構造を常に考えるんですよ。

システム全体を考える機会が多いので、アーキテクチャや責任分離みたいな考え方に自然と触れることになります。これらはAIを使う土台にもなります。

やまぴー先生:機械学習だと、その部分はあまり前面には出てこないんですか?

たけ先生:僕自身が機械学習の専門家ではないので断言はできないですが、Web開発ほど頻繁にシステム全体の構造を考える機会は少ない印象があります。一方で、大学で数学や機械学習を学んでいる人は、抽象化能力だったり、論理的な思考力といった別の強みがあります。
その能力は設計にも活きると思いますし、スキルの掛け算もできると思います。

やまぴー先生:プログラミングを少しでもやったことがある人なら、「スキルは足し算じゃなくて掛け算」という感覚は伝わりやすそうですね。機械学習かWeb開発か、という二択ではなくて、自分の軸になるスキルに何を掛け合わせるか、という見方の方が近いかなと思いました。

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